肥満症/メタボリックシンドロームについて
肥満症とは肥満により健康障害をきたすもので、内臓の異常だけでなく月経不順や思春期早発傾向、睡眠時無呼吸、そして周囲の目を気にして不登校になってしまうなどの心理社会的な問題を含みます。メタボリックシンドローム(※参考4)とは、肥満症に高血圧や脂質異常症、高血糖を伴っている状態で、心血管疾患を発症しやすい状態です。
子どもの肥満のほとんどは単純性肥満(原発性肥満)といって、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために生じるものです。肥満を悪化させる要因としては、食事やおやつ、ジュース類などの過剰摂取、バランスの悪い食事、長時間座ったままのゲームやテレビの視聴などによる運動不足、不規則な生活習慣などが挙げられます。幼児期の肥満の25%、学童前期の肥満の40%が将来、成人肥満に移行してしまうといわれています。また、思春期時期の肥満は体格が形成され生活習慣が身についてしまうことから、70〜80%が成人肥満に移行してしまいます。肥満は成人だけでなく、子どもでも高血圧症や脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症、脂肪肝などの生活習慣病の発症につながります。それだけでなく動脈硬化が進行することで、将来の脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞などの疾患の発症を起こしやすくなります。当院では肥満症やメタボリックシンドロームの診療も行なっておりますので、健診で指摘されたり体重増加が気になる場合は相談してください。
家族性高コレステロール血症について
家族性高コレステロール血症は遺伝子変異による遺伝性疾患で、日本では300人に1人いると推定されています。高LDLコレステロール血症をきたします。家族性高コレステロール血症は小児期から動脈硬化が進行すると言われており、早期発見・早期治療が望ましいです。たまたま血液検査を行った際に高コレステロール血症を指摘された人、ご両親や兄弟姉妹が高コレステロール血症であったり、ご両親や祖父母が早期(男性なら55歳未満、女性なら65歳未満)に心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患を起こしたような場合には相談してください。
受診について
- 受診の際には母子手帳と、園や学校での成長の記録をご持参ください。
- 事前に印刷・記入して持参していただければスムーズに診察が行えます。
参考4
小児期メタボリックシンドロームの診断基準(6〜15歳)
| ①腹囲 | 腹囲80cm以上(小学生では75cm以上)、もしくは腹囲/身長が0.5以上 |
|---|---|
| ②血清脂質 | 中性脂肪120mg/dL以上(食後2時間以降なら150mg/dL以上) HDLコレステロール40mg/dL未満 |
| ③血圧 | 収縮期血圧125mmHg以上 拡張期血圧70mmHg以上 |
| ④血糖 | 空腹時血糖100mg/dL以上(食後2時間以降なら100mg/dL以上) |
※①があり、②〜④のうち2項目を満たせば診断