赤ちゃんの頭のひずみについて
当院でも赤ちゃんのヘルメット治療ができるようになりました。赤ちゃんの頭蓋変形(頭のゆがみ)のほとんどは向きぐせが原因の「位置的頭蓋変形症」と呼ばれ、基本的に脳の成長や精神発達に影響を与えることはないと言われています。しかし、そうは言っても歪みが目立って来ると気にされる親御さんも少なくないと思います。
通常、頭を動かせない生後1か月頃に頭のゆがみ目立ってきて、首がすわる3か月頃まで増強します。その後は自然に改善していきますが、歪みの程度が重度の場合は自然に改善することが難しいという研究データがあります。そのため、これまでは病的な頭蓋変形(頭蓋骨縫合早期癒合症)でなければ体位変換やうつ伏せ練習(タミータイム)だけで様子をみるのが一般的であったのが、最近ではヘルメット治療をおこなう施設が徐々に増えてきました。そして、小児科クリニックでもゆがみの程度の評価やヘルメットの作成を依頼することで治療が可能になってきたことから、当院でも始めることにしました。
頭の歪みの治療は早い方が効果が高く、特に歪みが目立ち始める生後1ヶ月頃であれば理学療法のみで改善、あるいは重症度を下げることができる可能性が期待できるので、赤ちゃんの頭の形が気になる方は早めにご相談ください。ただし、位置的頭蓋変形症は病気というわけではないので、保険診療ではなく自費診療となります。
なお、診察・説明に30分から1時間程度かかりますので、ご相談をご希望の方はネット予約ではなく、直接受付までお電話ください(0748-77-8228)。
受診の流れ
初回(保険診療)
- 身体計測、ノギスによる頭蓋変形の重症度の評価
- 必要なら3Dカメラによる撮影での重症度評価
- 頭蓋変形の原因、自然経過、ヘルメット治療についての説明
※頭蓋骨縫合早期癒合症の可能性が疑われる場合には、専門機関に紹介します。
3か月未満なら理学療法(体位変換やタミータイム)を指導し、経過をみます。
3〜4か月以降のお子さんでヘルメット治療を希望される場合は、後日に治療同意書に記入していただき、お支払い確認後にヘルメットを発注します。
再診(保険診療)
- 身体計測、発達評価、改善度の評価
ヘルメット治療を希望される場合は治療同意書に記入していただき、入金確認後ヘルメットを発注します。
ヘルメット治療について
ヘルメット治療は3Dスキャンのデータをもとに計算された完成形から、3Dプリンタで作成されます。オーダーメイドで設計して作成するため、発注から10日前後かかります。当院で使用するヘルメットは、日本製のBerry社のベビーバンドです。
1)治療の開始時期
首が座ってくる生後3か月以降で、6か月までが推奨です。生後7か月以前に開始した方が、7か月以降に始めたよりも改善度が良いとされています。
2)治療期間
全体では平均3.5か月とされていますが、ゆがみの重症度が高い場合はもう少し長くなります。治療中は入浴やヘルメットのお手入れの時間を除いた、1日23時間の装着が推奨されます。ただし、発熱時などの際には外していただいて構いません。
3)治療費用
ヘルメット治療開始後は自費診療となります。治療費用は300,000円(税込)で、以下のものが含まれます。
- 3D撮影費用
- ヘルメット(ベビーバンド)製作費
- 治療終了までの経過観察・メインテナンスのための診察代
4)ヘルメット治療開始後
装着開始後は約1か月に1回皮膚トラブルなどがないか経過をみせていただき、改善度をチェックします。