- 2025年8月5日
母乳のすすめ
最近は外来でみていても、完全母乳栄養の赤ちゃんが少なくなりました。いろんな理由で母乳栄養を続けられない場合も少なくないと思いますが、本来なら母乳を続けられるのにミルク栄養になっているケースも少なくないようです。ミルク栄養のお子さんが増えている理由として、支援者が母親に安易にミルクを与えることを勧めたり、乳業会社の不適切なマーケティングが大きいと考えられています。
保育園に入るとか、父親の育児参加で母乳栄養がネックになることも少なくないと思いますが、工夫によって母乳を続ける方法はあります。また、お母さんがお薬を使用される場合でも、授乳をやめないといけないお薬は非常に限られます。
母乳栄養は赤ちゃんにとってだけでなく母体にとっても有益であり、母乳育児期間が長いと2型糖尿病や心血管疾患、乳がんや卵巣がんの発症率の低下をはじめとする多くの効果が報告されています。
最近は大きな災害が増えていますが、国際基準では災害時にはまず母乳栄養を推進・支援し、母乳がない場合にのみ粉ミルクや液体ミルクの使用を勧告しています。ストレスによって母乳が出なくなるというような誤った情報が出たりしていますが、実際にはそのようなことはほとんどないとされています。
また、以前からお伝えしていますが、フォローアップミルクは育児用ミルクではなくひとつの食品であり、WHOや米国小児科学会は赤ちゃんにとっては不要なミルクと宣言しています。パッケージに書かれたキャッチフレーズを見て、離乳後期になると飲ませないといけないと思われる方もおられるかもしれませんが、その必要はありません。
当院は、母乳栄養を希望されるお母さんに対しては積極的に応援します。また、離乳食を始められるお子さんを持つお母さんには、最適な離乳食について説明しています。母乳栄養や離乳食についてわからないことや不安があれば、お気軽にご相談ください。