- 2025年4月13日
百日咳が急増しています!
前回、麻疹(はしか)が増えているということをお伝えしましたが、こちらも報道でご存知かと思いますが、百日咳が増えてきています。
百日咳はワクチンを受けていない赤ちゃんがかかると急に呼吸が止まったり、脳症と呼ばれる中枢神経系の合併症を起こすことがあり、免疫のない赤ちゃんにとっては生命の危険を伴うとても怖い病気のひとつです。
症状は7〜10日の潜伏期間ののち、軽い風邪症状から始まり徐々に咳がひどくなってきます。熱はないかあっても軽度で、2週間後くらいからは急に出てしばらく続く「発作性の咳」が2〜3週間続きます。典型的には短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、その後息を吸うときにヒューという音(whoop)が聞かれます。また、咳とともに嘔吐することもよくあります。
しかし、成人ではこのような咳の特徴は乏しく、しつこい咳が続くだけのことが多いので見逃されやすく、感染源となるので注意が必要です。逆に、新生児や予防接種を受けていない生後半年くらいまでの赤ちゃんは先に書いたように重症化しやすく、死亡することもあります。
百日咳のワクチンは4種混合ワクチン(昨年からはヒブが加わった5種混合ワクチンになりました)を生後2ヶ月から開始しますが、小学校に入学する頃には免疫が切れてくるお子さんが多くなります。海外では就学前後で追加摂取される国が多く、小学校高学年や青年期の接種が行われている国もあります。
ところが日本ではいまだに4回の接種だけで終了。小学校に入学する頃には8割のお子さんで百日咳に対する抗体が低下しているとされ、成人ではもう免疫は無くなっています。以前から就学時の百日咳ワクチンの追加の必要性が叫ばれており、免疫のない赤ちゃんを百日咳から守るために妊婦さんの三種混合ワクチンの接種の有効性も証明されています。
生後2ヶ月になったらできるだけ早くワクチンを受けていただくとともに、小学校入学前のお子さんには任意接種ではありますが、三種混合ワクチンの接種をお勧めします。