• 2018年2月8日
  • 2024年10月20日

インフルエンザ雑感

インフルエンザの流行がピークを迎えました。今シーズンのインフルエンザは12月にA型とともにB型も流行し始め、年明けからはB型が優位になって大きな流行となっています。テレビなどでもしばしば報道され、先日は「隠れインフルエンザ」などという言葉が使われていましたね。

欧米では、インフルエンザの流行期にインフルエンザ様の症状が出たら病院などに行かずに自宅でゆっくり療養し、1週間以上発熱が続く場合には受診、呼吸困難や胸痛などを認める場合には救急を受診するという考えが一般的です。「インフルエンザが疑われたら、早めに受診しましょう」なんてことを言う日本の状況とは大きな違いですね。インフルエンザの患者さんが医療機関に集中すればそれによってインフルエンザ以外の病人や医療従事者にうつす可能性が高く、救急病院では診療業務が停滞して本当に急を要する患者さんの診療に支障が出てきます。これがもっと致死率の高いウイルスであったなら、大変なことになりますよね。また、検査キットや抗インフルエンザ薬がこれだけふんだんに使用されるのも日本ならではなんです。

迅速検査は診療面で重要ではありますが、実際には園や学校の出席停止(欠席扱いにならない)のためというのも多いですね。症状だけではインフルエンザであるかどうかが診断困難なケースが少なくないことや、A型とB型の流行があるため、必要性に疑問を抱きながらも検査をしないわけにはいかないことが多いのが現状です。本来ならインフルエンザが疑われる場合には1週間休んで、しかも欠席扱いにならないというのが望ましいと思うのですが、現実のシステムでは難しいですね。治療薬についても、現在の抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を抑えるもので、発熱期間を1~1.5日短くする程度の効果とされており、重症化の予防効果は確認されていません。しかも、B型では効き目が悪いケースが多いので、当院ではあまりお勧めしておりません。

迅速検査は診察だけでは診断できない病気を診断できるということもありますが、陰性だからその病気ではないとは必ずしも言えず(偽陰性)、逆に死んだ菌やウイルスも陽性と判定するため、「陽性」=「診断」とは限らないこともあります。さらに、保険診療としてのルール(インフルエンザの場合は発症から48時間以内に行った場合にのみ、保険診療として認められる)もあります。

たしかに、微熱くらいでもインフルエンザのことが時々あります。しかし、逆に微熱の患者さんの多くはインフルエンザではなく、軽い症状でも片っ端から検査をすることは医療資源の無駄遣いになります。仮にインフルエンザであっても軽い症状の場合は治療も不要ですし、感染源にはなりますがもともと感染防止には限界があり、こうした軽症例の診断をつける意味は無いと思います。この状況、いつまで続くのかなあ…。

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