• 2020年5月3日
  • 2024年10月20日

新型コロナウイルスについて〜その2

前回のブログから2ヶ月経ちました。その後、日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大していますが、幸いなことに欧米のようなひどい状況には至らずに済んでいます。4月27日に国立感染症センターから公表された情報によると、1月初旬に武漢から入ってきたウイルスおよびクルーズ船(ダイアモンド・プリンセス号)で検出されたウイルスは封じこみに成功したが、現在の流行は3月中旬に欧米から流入した(第2波)ウイルスによるものとのことです。そして、全体としては新たな感染者数は減少傾向にあり、特に発症日でみてみるとその傾向は明らかです(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627254.pdf#search=%27)。しかしながら、仮にこのままいったん収束したとしても、おそらく第3波、第4波がやってくると考えられています。したがって、現在行われている社会活動の制限と緩和を繰り返しながら、大きな流行を起こさないようにコントロールすることが重要であるという考えが主流です。

ウイルスは致死率が高くて症状が出る前には感染性が無い場合には確実に患者さんを隔離することによって流行を抑え込むことが可能ですが、無症状の感染者や症状が出る前から感染性がある場合には制圧することは困難です。感染症が大流行する背景には、集団生活あるいは世界のグローバル化という現在の生活スタイルがあります。したがって、流行を阻止するためには現在言われているように、人が密集する場所、換気の悪い場所での人の集まりを避け、飛沫が届かない距離を保つことです。また、帰宅時や不特定多数の人が触るものに触れた後は手をよく洗いましょう。特に、手を洗う前に鼻や目を触らないように気をつけてください。

新型コロナウイルスに感染しても、大部分の人は症状が出ないか軽症で済みます。初期の症状は風邪症状ですが、強い倦怠、息苦しさ、持続する味覚や嗅覚の異常などがみられる場合には帰国者・接触者相談センターに連絡してください。これまでのデータでは20歳未満の感染者は極めて少なく、しかも症状が軽いことがわかっています。したがって、お子さんに風邪症状がみられても、過剰に心配される必要はありません。風邪には薬はほとんど効きませんのでご家庭で様子をみられたらいいですが、熱のわりに呼吸が速いとか、苦しそうな呼吸をしているといった場合には、早急に受診してください。

ウイルスも怖いですが、それより怖いものがあります。それは、感染者あるいは新型コロナウイルスの患者さんの診療に一生懸命頑張っている医療従事者などへの偏見や差別、そしてインフォデミック(根も葉も無い情報やデマが大量に拡散されること)です。また、 「コロナ自警団」あるいは「自粛警察」と称する人たちが感染者が発生した大学に脅迫電話をかけたり、県外ナンバーの車に傷をつけたりするといった、正義感からくる過剰な行動も怖いですね。戦時中の「非国民!」という一言で処罰されたり、連行されたりしたのと似ています。正しい情報の収集と冷静な対応が求められます。日本赤十字社のホームページには「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!〜負のスパイラルを断ち切るために〜」というタイトルの動画や、それと同じ内容が書かれたサイトがありますので、ぜひご覧ください。
http://campaign.jrc.or.jp/kansensho/

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