• 2018年4月21日
  • 2024年10月20日

お薬について

最近は以前に比べて、出すお薬が少なくなってきました。以前は、たとえば高い熱が出たら抗菌薬、鼻水や咳には抗ヒスタミン薬や鎮咳薬(いわゆる咳どめ)、痰が絡んでいれば気管支拡張薬、下痢をしていれば下痢止めといった対応をしていました。しかし、風邪薬は実際に有効性が証明されたものはほとんどなく、むしろ病気の経過を長引かせたり副作用がでたりするリスクなどのデメリットの方が大きいことがわかってきました。
 
たとえば鼻風邪に抗ヒスタミン薬を使用すると鼻水を粘調にするために鼻腔内に停滞させてしまい、眠気がある薬は脳の機能を低下させたり、けいれんが止まりにくくすることがあります。咳止めも効果は乏しく、咳は防御反応のひとつなので多くの場合止める必要はありません。気管支拡張薬も気管支喘息以外では効果は証明されておらず、心臓を刺激する作用も含まれるため、安易に使うべきではありません。ときどき、兄弟にもらっていた「咳止めのテープ」を貼っていたとおっしゃる親御さんがおられますが、実は咳止めではなく気管支拡張薬です。下痢止めの薬についても、最近は推奨されません。
 
抗菌薬については世界中で耐性菌の増加が問題になっており、昨年6月に厚労省が医療従事者を対象として、「抗微生物薬の適正使用の手引き」を作成しました。抗菌薬の乱用は耐性菌の問題だけでなく、子どもの場合にはほかにも問題があります。それは最近注目されている腸内細菌です。腸内細菌についてはまだまだ不明な点が多いですが、アレルギー疾患、炎症性腸疾患、将来の肥満などとの関係が指摘されています。抗生物質を飲むと腸内細菌にダメージを与え、特に多くの種類の細菌に幅広く効果のある薬は腸内細菌に大きな影響を及ぼします。腸内細菌は乳幼児期に形成されるとされるので、この時期はできるだけ不要な抗菌薬の投与は避けるべきと考えられてきています。お薬をもらわる時に疑問に思われたら、その必要性やメリット・デメリットについて聞かれるといいでしょう。当院かかりつけのお子さんについては、お気軽にご相談下さい。

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