湖南市、小児科、のむら小児科

〒520-3106 滋賀県湖南市石部中央1丁目3-26

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食物アレルギー

当院ではアレルギー疾患の中でも特に、食物アレルギーの予防に力を入れています。最近では小児の食物アレルギーは、赤ちゃんの皮膚でその素地が作られると考えられています。つまり、湿疹の強い皮膚では表面に付着した食物などの分子が皮膚の深部に入り込みやすく、そこにいる免疫細胞が入ってきた分子を異物と判断してこれを排除しようとしてそれに対する免疫反応が起こります。例えば卵であれば、卵に対する特異的IgE抗体が作られ、初めて卵を食べたときにそのIgE抗体が全身のアレルギー反応を引き起こします。

これを防ぐためにはまず湿疹をしっかり治療することと、卵などアレルギーを起こしやすい食物を早く摂取することです。腸の中には食物アレルギーを起こしにくくするリンパ球がいて、口から早く入れることによって食物アレルギーを予防してくれるのです。当院では、にしむら小児科の西村龍夫先生が考案された「ミックスパウダー」による微量投与をおこなって発症を予防するようにしています。このミックスパウダーについては、2017年に多施設共同研究が行われ、当院も参加しました。その研究では、湿疹など食物アレルギーを起こすリスクが高いお子さんで明らかな予防効果が認められ、2022年に論文になりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35367136/

また、すでに食物アレルギーを発症されたお子さんについても病態や最近の考え方を説明し、少量摂取を続けることにより耐性の獲得(摂取しても症状が出ない状態になる)を促しています。これまでは食物アレルギーと診断された場合、一定期間その食物の摂取を制限(完全除去)し、定期的に血液検査を行って特異的IgE抗体が下がってきたら負荷試験を行っていくというかたちで対応されてきました。しかし、原因食物を完全除去することは治るのを妨げるだけでなく、場合によってはさらに重症化することがあります。腸での食物アレルギーの抑制効果が発揮されず、皮膚でのIgE抗体の産生が続くからです。

最近は完全除去ではなく、食べられる範囲で食べさせるという方向になってきてはいますが、ご家庭で少量ずつ摂取することは必ずしも簡単ではありませんね。食物アレルギーでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

舌下免疫療法

これまでは花粉症に対しては、花粉を避ける対策(マスク、花粉用メガネなど)と症状を抑えるお薬を使用するのが治療の基本でした。一方で、花粉を避けるのではなく微量の花粉成分をからだに入れることで花粉に対して反応しない体質にする、より根本的な治療に近い「アレルゲン免疫療法」がおこなわれるようになってきました。この治療法は実は100年以上の歴史を持ち、皮下注射による方法が行われていました。
 
しかし、最近はより安全で、しかも痛みもなく自宅でおこなえる舌下免疫療法が主流になってきました。現在、舌下免疫療法の対象はスギとダニだけですが、ヒノキについても開発中です。ただ、すべての人に有効なわけではなく、8割の患者さんで症状が改善または治癒、残りの1〜2割の患者さんでは残念ながら効果がないとされており、現在のところ治療前に有効か無効かを知る方法はありません。

当院では、症状が強いスギ花粉症や通年性アレルギー性鼻炎のお子さんには舌下免疫療法をお勧めしております。対象は5歳以上で、基本的に舌下内服ができて毎日続けられるお子さんであれば可能です。

湿潤療法

これまでのケガややけどの治療というと、消毒をして塗り薬を塗ってガーゼを当てるという方法が常識でした。しかし、湿潤療法は傷口を「消毒しない」「乾かさない」「ガーゼを当てない」という、従来の常識をくつがえす画期的な治療法です。傷ができるとジュクジュクした液体が出てきますが、この中にはサイトカインという傷を治そうとする物質がたくさん含まれています。湿潤療法というのは、このジュクジュクの持つパワーを最大限に生かす治療法です。

傷は乾くと痛いですが、湿潤療法では乾かさないことと消毒しないことで痛みがほとんどありません。傷口が砂や泥などで汚れているときはまずきれいに取り除く必要がありますが、その後はただ適切な素材でキズを覆うだけです。消毒は傷口の細胞を傷めますが、感染予防にはあまり効果はないので水洗いで十分なんです。

当院では湿潤療法の本家本元である、『なつい式の湿潤療法』をおこなっています。詳しくは、夏井 睦先生の新しい創傷治癒というサイトをご覧ください。

小児内分泌疾患

小児内分泌疾患はこどもの成長だけでなく、生活の質(QOL)にも影響します。また小児期だけでなく成人期にも影響しますので、専門医による適切な医療が必要です。
(注意 受診の際には母子手帳と、園や学校での成長の記録を持参してください)

低身長について
低身長は小児内分泌で外来を受診する最も多い主訴です。低身長は同性同年齢の平均値からどれくらい離れているかを示す「標準偏差(SD)」で表しますが、一般的に-2SD以下の身長を低身長と呼んでいます。1000人で23人ほどが該当します。また1年間での成長速度(成長率)も評価する必要があります。成長の評価には成長曲線(※参考1)を用いますが、-2SD以下の低身長である場合(※参考2)や、1年間での成長が4cmを下回る場合は医療機関の受診が推奨されますので相談してください。それから、まだ思春期年齢(平均的には女児は10歳以降、男児は11歳以降)にならないのに、身長がぐっと急激に伸びている場合には、次の項でも触れる思春期早発症の可能性がありますので受診してください。
 
低身長の原因は様々で、ほとんどは体質性や家族性によります。中にはSGA出生(在胎週数の割に身長や体重が小さく生まれること)で2〜3歳になってもキャッチアップと呼ばれる、成長ホルモンの分泌不全、甲状腺機能低下、性ホルモンの分泌異常、腎臓・肝臓・消化管といった内臓疾患、骨や軟骨の疾患、遺伝子や染色体の異常、栄養不良、心理社会的影響(虐待や大きなストレス)などが低身長の原因となります。また腫瘍性や炎症性疾患で成長速度が低下することがあります。そのため、低身長の原因をしっかり鑑別することが重要です。
 
当院では問診と診察を行い、成長曲線を作成した後に、必要に応じて血液検査や尿検査、レントゲン検査(骨の発育状態や変形がないかをみるため)、成長ホルモン分泌刺激試験を行います。成長ホルモン分泌刺激試験は検査の際に注意事項がありますので、検査の必要性があれば日程調整を行わせていただきます。またMRI検査などの画像検査が必要な場合には他院での撮影をお願いしています。
 
成長ホルモンの分泌不全がある場合や、治療の適応がある疾患の場合は成長ホルモン治療を行います。
成長ホルモン以外の治療として大事なのは蛋白質を中心に十分な栄養を摂ること、定期的に運動すること、そして生活時間を規則正しくして十分な睡眠を取ることです。
身長を伸ばすサプリメントなどがインターネットなどで宣伝されていますが、ほとんど医学的根拠がなく、身長を伸ばすことは期待できません。もし、これはどうなのかと気になる物があれば受診された際にご相談いただければと思います。
低身長は病気でないことが多いですが様々な原因があり、原因をしっかり見極めて適切な治療を行う必要があります。お子様の成長に関して気になることがあれば、いつでも気軽にご相談ください。検査で異常がない場合も多く、また身長のことを気にしすぎてしまうお子様や保護者の方もおられますので、他の良い面にも目を向けてあげるようにしてください。
 
思春期の発来について
思春期は脳下垂体から思春期を起こす信号(精巣・卵巣を刺激するホルモン:ゴナドトロピン)が律動的に分泌され、それにより精巣・卵巣が刺激され、男児ではテストステロン、女児では主にエストラジオルが分泌されることにより発来・成熟します。身体的な変化について、男児においては「精巣容量が大きくなる」から始まり、「陰茎が大きくなる」、「陰毛が生える」、「腋毛が生える」、「ひげが生える、声変わりをする」と進んでいきます。女児においては「乳房が膨らむ」から始まり、「陰毛が生える」、「腋毛が生える」、「生理が始まる」と進んでいきます。そして性ホルモンの作用により、骨の成熟も進み身長が急激に伸びます。
以下に「思春期早発症」、「思春期遅発症」について述べます。思春期の悩みはなかなか他人に打ち明けづらく、本人が隠してしまったりして気付きにくいこともありますが、ご心配な方はなるべく早く当院を受診し、ご相談ください。

思春期早発症
思春期の発来が早すぎる病態を「思春期早発症」と言います。多くの場合が明らかな原因がない「特発性」ですが、中には脳腫瘍や精巣・卵巣腫瘍などが原因のこともあります。思春期早発症では①低年齢で急速に体が完成(成熟)してしまうため、一時的に身長が伸びた後、小柄のままで身長が止まってしまう可能性があること、②幼い年齢で乳房が発育する、毛が生える、月経が発来するなどの症状が出現するために、本人や周囲が戸惑う心理社会的問題が起きる可能性があること、③まれではありますが、脳などに思春期を進めてしまう原因になる病変が見つかることがあること、です。
思春期早発症の身体的な基準(※参考3)ですが、男児では「9歳までに陰茎や精巣が発育する」、「10歳までに陰毛が生える」、「11歳までにひげが生えたり、声変わりをする」です。女児では「7歳6か月までに乳房が膨らみ始める」、「8歳までに陰毛や腋毛が生える」、「10歳6か月までに生理が始まる」です。
「思春期早発症」を疑う際には診察で思春期早発徴候を確認し、成長曲線を作成して思春期時期に相当する身長増進の急激なスパートがないかを確認します。思春期早発が疑わしい場合には血液検査やレントゲン検査、必要に応じてMRI検査や負荷試験などを行います。
「中枢性思春期早発症」では卵巣・精巣を刺激するホルモンであるゴナドトロピンの分泌を抑える治療(ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ製剤:GnRHアナログ)を行うことがあります。治療を行う目的は心理社会的問題と最終身長の改善であり、すべての人が治療対象になるわけではありません。GnRHアナログは毎月1回当院で注射します。GnRHアナログによる治療は性成熟が年齢相当になり、最終身長の改善がみられた時点で終了になります。治療により思春期が発来しなくなる、妊娠しにくくなるなどの副作用はありません。

思春期遅発症
思春期が15歳までに発来しない病態を「思春期遅発症」と言います。「思春期遅発症」には体質的なものと、思春期にみられる脳下垂体からのゴナドトロピンの脈動的な分泌が通常より遅いもの(体質性思春期遅発症)、そして脳下垂体や生殖器が何らかの問題で機能低下にある場合があります。「体質性思春期遅発症」は、通常より遅い時期に自然に思春期が発来しますが、それ以外の原因では男性ホルモンあるいは女性ホルモンの補充が必要になります。男性ホルモンの補充は毎月1回当院にて注射を、女性ホルモンの補充は内服にて段階的に投与量を増やすことによって、正常に思春期が発来するようになります。思春期の発来が遅いと骨粗鬆症になったり、心理的な問題を抱えることもありますので、1人で悩まずに相談してください。
 
甲状腺疾患について
甲状腺とは首にある蝶のような形をした臓器です。脳下垂体からの指令を受けてホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは心臓や消化管など全身に作用し成長にも必要ですが、過剰であっても不足しても身体に影響を及ぼします。小児の甲状腺疾患は一般的に思春期時期に発症することが多いですが、成人になっても医療を受け続ける必要がある人も少なくありません。また、女性の場合には妊娠や出産、生まれてくる子どもにも影響しますので、注意する必要があります。甲状腺の腫れなど疑わしい症状がある場合には、すみやかに小児内分泌専門医のいる医療機関を受診してください。

甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患の代表的な疾患は「バセドウ病」です。何らかのきっかけで甲状腺に対する抗体(自己抗体)が産生され発症します。一般には20〜40歳台女性の発症が多いですが、小児では思春期時期に発症することが多く、女児に多いです。症状としては甲状腺が腫れる、異常に汗をかく、食事を摂っているのにやせる、動悸がする、下痢、手が震える、そわそわしてじっとできない、眠れない、などです。眼球突出や物が二重に見える(複視)、まぶたが腫れるなどの眼症状をきたすこともあります。
治療は甲状腺ホルモンの分泌や作用を抑制する製剤を服用します。血中の甲状腺ホルモンが正常化し、原因である甲状腺の抗体が陰性化したら治療を終了します。小児の「バセドウ病」は薬剤が奏効することが多い一方で、再発が多く薬の服用を再開・継続する必要があったり、場合によっては甲状腺切除や成人以降で放射線治療に至る例もあります。

甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下する疾患としては代表的なものとして「先天性甲状腺機能低下症」と「慢性甲状腺炎(橋本病)」があります。
先天性甲状腺機能低下症
生まれつき甲状腺の働きが弱くホルモンが不足してしまう疾患です。原因としては甲状腺がない(無形成)、小さい(低形成)、甲状腺が別の場所に存在する(異所性甲状腺)、甲状腺ホルモンの合成に問題がある、甲状腺に対して指令をだす脳の下垂体や視床下部に障害のあるもの(中枢性)など多岐にわたります。発生頻度は3000〜5000人に1人程度と推定されています。現在、日本では新生児マススクリーニング検査が行われており、症状が明らかになる前に発見されてしまうことがほとんどです。しかしながら新生児マススクリーニング検査で発見できないケースもまれにあります。
症状としては出生後の早期から元気がない、哺乳力が弱い、哺乳量が少ない、体重増加がよくない、黄疸が長引く、便秘、手足がつめたい、泣き声がかすれているなどの症状が現れることがあります。長期的には身体の成長や知的な発達が遅れてしまうことが問題となります。
治療は甲状腺ホルモン薬の内服を行います。甲状腺ホルモン薬の服用を継続すれば、普通の子どもと変わらない生活を送ることができます。ただし、甲状腺ホルモンの不足が一時的であるもの(一過性)もあれば、生涯治療を継続する必要のあるもの(永続性)の場合もあります。

慢性甲状腺炎(橋本病)
何らかのきっかけで甲状腺に対する抗体(自己抗体)が産生され発症します。一般には30〜50歳台女性の発症が多いですが、小児では思春期時期に発症することが多く、女児に多いです。症状としては身長の増加が悪い、疲れやすい、元気がない、肌が乾燥する、むくみがある、首が腫れる、などです。
治療は甲状腺ホルモン薬の内服を行います。甲状腺ホルモン薬の服用を継続すれば、普通の子どもと変わらない生活を送ることができます。
 
肥満症/メタボリックシンドロームについて
肥満症というのは肥満により健康障害をきたすもので、内臓の異常だけでなく月経不順や思春期早発傾向、睡眠時無呼吸、そして周囲の目を気にして不登校になってしまうなどの心理社会的な問題を含みます。メタボリックシンドローム(※参考4)とは高血圧や脂質異常症、2型糖尿病、肝機能障害といった、肥満による代謝異常を指します。肥満症やメタボリックシンドロームは成人の疾患と思われがちですが、小児の肥満は近年増加傾向で、なおかつ成人肥満に移行することが多いです。そのため、生活習慣に気をつけてバランスのよい食事と適度な運動が必要です。当院では肥満症やメタボリックシンドロームの診療も行なっておりますので相談してください。

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